遺品整理はいつから始める?
プロが語る「始めるきっかけ」と「タイミング」、そして気をつける点
遺品整理は、故人との大切な思い出を整理しながら心の整理を進める大切な機会です。しかし、手をつけるタイミングに迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、遺品整理専門業者として、これまで20,000件以上の遺品整理を実施した経験から「遺品整理を始めるきっかけ」や「タイミング」を、事例を交えながら、それぞれに応じた対応方法をわかりやすく紹介します。
1. 遺品整理とは?その重要性と基本的な考え方
遺品整理とは、故人の遺した持ち物や書類、家財道具、果ては住居なども整理・処分する作業です。遺品には故人の生き様の全てが遺されており、ご遺族への様々なメッセージが託されています。
細かいことですが、同じブランドのビールしかない、同じスーパーマーケットの袋しかない、本棚には推理小説しかない。これらも故人のこだわりであり、どのように生きてきたかが見えてきます。
2. 息子さんの遺品整理事例
遺品整理とは、故人の遺した持ち物や書類、家財道具、果ては住居なども整理・処分する作業です。遺品には故人の生き様の全てが遺されており、ご遺族への様々なメッセージが託されています。
細かいことですが、同じブランドのビールしかない、同じスーパーマーケットの袋しかない、本棚には推理小説しかない。これらも故人のこだわりであり、どのように生きてきたかが見えてきます。
故人の生きざまが強く感じた事例としては、父親からの依頼で請け負った息子様の遺品整理でした。
まず、部屋に入るとギターが沢山ありました。また、引き出しの中は楽譜やカセットテープが段ボールの中に詰めてありました。
お父様がボソッと「息子はミュージシャンになるのが夢だったんです」と言われました。○○(故人の名前)は音楽に一生を捧げて死んでいった。
「夢半ばで亡くなってしまいましたが後悔はしていないと思います。」とお父様から言われた時は、これが生きざまかと感じた瞬間でした。
3. 離婚したお父さんの遺品整理事例
事例の2つめとしては、離婚した両親の遺品整理での時でした。
娘様からの依頼で作業を請け負ったのですが、30年以上疎遠であった娘様にとってはほぼ記憶も思い出もない状態での依頼でした。
作業を進め普段過ごしていただろうソファのわきの引出しから娘さんや奥様とのきちんとファイルしてある写真が何十枚と出てきました。
場所的にくつろいでいる時に取り出して見ていただろうと推測され、依頼者の娘様に説明しお渡ししたところ「父親は私の事を思ってくれていたんだ」と泣きながら、写真は持ち帰りました。
別れて亡くなるまで父親にとって娘様や家族は本人の生きがいだったのでしょう。
決して遺品はしゃべりませんが、故人の生きざまを無言で話しかけてくることもあると感じます。
だからこそ、単純に物を片付けるだけが、遺品整理ではなく、心の整理や法的手続き、生活環境の再構築にも深く関わってきます。
葬儀で故人は骨となりますが、その方が住んでいた家の中にいると、「まるでドアから故人が出てくるんじゃないか!」と思うことがあります。
そこで故人の遺品を整理することで故人の生活していた場所は消え、ご遺族の記憶の中の人となります。
ご遺族になった方、それぞれ適切なタイミングで遺品整理を行うことは、感情的な負担を軽くし、相続や不動産処理といった実務もスムーズに進める助けとなります。
4. 遺品整理を始めるべき「きっかけ」と「タイミング」
遺品整理を始める明確な時期はありません。
始める「きっかけ」には遺族の事情や亡くなった方の住まいが所有か賃貸かによって差があり、見極めが難しいところです。
以下の表で遺品整理をするスケジュールの目安を参考に記載します。
| 時期 | 主な対応 | メモ |
|---|---|---|
| 〜2週間 | 重要書類・貴重品の確保/住居・公共料金の緊急対応 | 契約や期限があるものを優先します。 |
| 〜四十九日 | 計画づくり/家族合意/保留箱の設定 | 大きな処分は後日に回しても大丈夫です。 |
| 〜3か月 | 本格的な仕分け/処分・売却・供養 | 住居の契約状況にあわせて進めます。 |
| 〜10か月 | 相続関連の資料整理・保管 | 相続の各期限に合わせて資料を整理しておくと後が楽です。 |
次の章では、具体的に遺品整理を始めるきっかけとなった一例を紹介します。
4-1. 遺品整理の【きっかけ】
四十九日の法要が終わった後
今でも遺品整理の見積依頼の中で多数あるのが「四十九日が終わってから見積をして欲しい」という方々です。
仏教では、四十九日を過ぎると故人が成仏するとされています。この節目は、遺族にとって心の整理がある程度つき始める時期。家族や親族が集まる機会でもあるため、遺品整理について話し合いや役割分担をする好機です。
この時期に始めることで、「遺品整理を 49日前」に無理に進めなかったことによる後悔も避けやすく、感情的にも落ち着いた状態で整理を進められます。
※所有物件以外で四十九日法要後の見積の場合、作業が月をまたぐと家賃が発生します。
賃貸物件の場合
この場合、故人が賃貸物件に住んでいて亡くなった場合、家賃を払わない限り月内でお部屋の返却が必要になります。
サ高住※や老人ホームなども部屋の返却期限が決まっているため、急いで遺品整理を行う必要がある場合が多いです。
※「サービス付き高齢者向け住宅」の略称で、バリアフリー構造の賃貸住宅に、安否確認と生活相談のサービスがセットになった、自立した高齢者などが安心して住める住まいのことです。
賃貸物件の場合は家主や管理会社と相談すれば、ある程度返却猶予をもらえる場合もありますが、今の時代、施設等の方が次の入居者が決まっている場合が多く、亡くなった日から2週間等の期限が設けられている場合もあり、期限に追われる中で、気持ちの整理もまだついていない中でのご自身での作業は、とても大変です。
可能であれば、早めに遺品整理業者へ見積の相談をすることをおすすめします。
1つ注意点としては、この日までにやりたいと期限を提示した場合、日程が厳しいと足元を見てくる遺品整理業者もあるので要注意です。
空き家のリスク
故人の住まいが空き家になった場合、防犯や火災、放置が長いと老朽化のリスクが高まります。なかでも多いのが近隣の方々からのクレーム等がきっかけで作業を依頼される方が多く感じます。
例を挙げると庭木が隣の家まで侵食する、玄関周りの草が伸び放題だと周りに住んでいる方からすると迷惑と感じられることがあるからです。
その場合は「庭木の伐採サービス」(※郵便局の終活日和)を利用したり、遺品整理を進めたりすることで、近隣住民への影響を最小限に抑えることができます。
また遺品整理を終わらせることで家屋の売却・賃貸・解体といった今後の選択肢を検討できることになるので、もし放置したままだな。と言う方は、最寄りの郵便局の終活担当者に相談すると良いでしょう。
郵便局では、終活サービスを提供しており、遺品整理はもとより庭木の伐採サービス、相続に関わる対応まで、様々な用途に応じて、ご支援しています。
弊社で以前にあったことですが、5年ほど空き家のまま放置した家の見積で伺った際に、ホームレスが住んでいたこともあります。
遺族でもある依頼者の家族親類には喫煙者がいなかったのにも関わらず玄関周りに吸い殻が散乱していたため、弊社スタッフが念のため警察を呼び、到着した警察官が家に上がり2階でホームレスが寝ていて御用になったという流れです。
その日は警察との現場検証や聞き取り等で見積することができず、結果後日再訪問し、作業の際にも立ち合って計3回立ち会っていただくこととなりました。
ちなみに、家は駅近で人通りのいい立地、けして田舎の歩いている人がいないような奥地ではなかったことも付け加えておきます。
その他、久しぶりに実家に行ったら空き巣に入られていた事例も多くあります。
窓ガラスが割られており、家財等を確認したところ特に盗まれたものはなく、見積はそのまま進めました。
実家の扱いがすぐ決められない、もしくは定期的に行けない場合、長くなりそうな場合は空き家見守り(※終活日和)も選択肢にいれるのも必要かもしれません。
気持ちの整理がついたと感じたとき
気持ちの整理ができたときこそが、遺品整理に取り組むベストなタイミングとも言えます。焦らず、自分の心の準備が整ったときに一歩を踏み出すことで、後悔のない形で作業を進めることができます。
一般的に遺品整理のイメージは粛々と進めるイメージがあると思う方が多いのですが、このパターンのように気持ちの整理がついた場合は、皆様が想像するより明るい現場が多くあります。
例えば、実家での遺品整理の場合、依頼者が住んでいた実家でもあるので子供の頃の写真や通知表などが出てきて昔話に花が咲くことも多々あります。
作業中“へそくり”が出てみんなで焼肉だ!と笑っている遺族の方々を見ると、遺品整理をやって故人も喜んでいるかな?とか思ってしまう現場もありますよ。
感情的に「遺品整理がつらい」と感じる時期を無理に乗り越えようとせず、必要なら家族や親類と相談し落ち着いてから作業をするのもいいかもしれません。
4-2. 遺品整理を進める際に気をつける点
故人のプライバシーと重要書類の取り扱い
ご自身での整理中に、日記や手紙、契約書や保険証券などが見つかることもあります。
必要に応じて家族で共有・保管しましょう。
ご自身で貴重品の確認前に遺品整理業者へ依頼する場合、貴重品はもちろんのこと全ての遺品の扱いについて質問してください、扱い方法に納得できない場合は依頼しない方が良いでしょう。
さらに気をつけたいのは遺品整理業者にお願いした場合、処分したものは戻ってきません。
現金・貴金属・有価証券などはもちろんのこと、写真や日記、故人の趣味の品など想い出の品はそれぞれ異なります。
どこまで仕分けや捜索してもらえるのか、業者がどこまで遺族の要望に寄り添ってくれるのかも、業者選びには大事なポイントかもしれません。
4-3. 処分していい?
ご自身で遺品整理する場合、業者に任せる場合でも以下のような品目には特に注意が必要です。
- • 遺言書や契約書などの法的文書
- • 現金・通帳・印鑑・貴金属
- • 写真や手紙などの思い出品
- • ライフライン等(電気ガス水道)の請求書や契約書、新聞やインターネット含む
- • 趣味の品
捨てるか迷うものは、一時保留箱を作って時間をおいて、ゆっくり判断するのも一つの方法です。あきらかに持って帰っても意味がないものでも、故人が大切にしていたものなどは遺品整理業者の供養サービスを利用するのも一つの手だと思います。
5. 遺品整理の進め方(自分で行う場合と業者依頼)
5-1. 遺品整理を自分で行う場合
まずは「貴重品」の捜索、つぎに「形見分け」の品を確認、「再利用」できる品の確認、「処分」する品の4分類で仕分けると効率的です。
家族で役割分担し、無理のない範囲で計画的に進めましょう。
一軒家や3LDK以上の家屋の場合や作業を手伝ってくれる人員がいないと大型家具等の運び出しができないので粗大ごみに出せず終わらせるのが難しいかもしれません。
自分たちでできるところまで進めて、出来ない部分を遺品整理業者に任せるもの安く済ませる方法の一つです。
郵便局の終活日和では、郵便局、お電話、Webからお問合せを受け付けています。
まずはお客さまのご要望をお聞きした上で、お伺いしますので、まずはお気軽にお問い合わせしてみては、いかがでしょうか。
5-2. 専門業者に依頼する場合
料金やサービス内容を事前に比較し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
業者選びのポイント
・信頼できるところからの紹介か
・最低でも10年以上続いている会社か
・処分方法を聞いても的確に答えてくれるか
・処分は適切にしているか、一般廃棄物収集運搬業者を使用しているか
・依頼者立会いなしで作業可能か ※立会なしで作業請け負う業者はアウト
HPがしっかりしていても最低上記の確認は必要です。
6. 遺品整理が「つらい」と感じるときの対処法
これは簡単です、返却期限がない所有物件であれば、無理に進める必要はありません。
固定資産税を払えば、建物が朽ち果てるまで問題ありません。
しかし、逆に考えるといつかはやらなくてはなりません。
やらないまま放置すると、やがて次の世代に相続され次の世代がやらなくてはなりません。
自分の親の遺品整理ならまだしも、孫世代にとっては負担以外の何物でもないのです。
また自身が高齢になると現場へ向かうのは、一苦労になります。
自身が元気なうちに進めるのがおすすめです。
•ゴミの収集は基本朝に出すので泊まれるスペースを最初に作る
•1部屋ごとに作業を進める
•冷暖房器具は最後まだ残す
•1人ではやらず家族や友人と一緒に行う
気持ちを整理することも「遺品整理」の一部と考え、焦らず少しずつ取り組むことが大切です。
7. 遺品整理のよくある質問(FAQ)
いつから始めるのが良いですか?
まずは手続きと重要書類の保管から。心身が落ち着いてから計画的に進めます。
四十九日前に始めても大丈夫ですか?
家族合意のうえ、処分を急がず最小限の整理に留めます。
衣類はいつ処分すべきですか?
落ち着いてからで大丈夫です。保留期間を決めて見直します。
誰が中心になって進めますか?
ご家族・相続人が主体です。難しい部分は専門事業者に一部依頼も可能です。
いつまでに終わらせるべきですか?
法的な期限は定められていませんが、住居契約や相続手続きのスケジュールに合わせて無理なく進めます。
8. まとめ:遺品整理は自分のペースで、必要なときに
「遺品整理 いつから始めるか」は、状況や心の準備によって人それぞれです。
無理に急がず、必要なタイミングで始めることが大切です。
この記事で紹介した内容は、心や生活、契約・相続などの側面から遺品整理を始めるヒントになります。大切なのは、故人への感謝の気持ちを忘れず、自分や家族にとって負担の少ない方法で進めることです。
専門家の手を借りるのも選択肢のひとつ。
一人で抱え込まず、信頼できる人と一緒に進めることで、遺品整理はより前向きな時間となるはずです。
本記事が、みなさまの不安や疑問をほどく一歩になれば幸いです。お一人で抱え込まず、まずは郵便局の終活日和へご相談ください。
状況に応じて、信頼できる提携事業者や専門家のご紹介も可能です。お電話またはWebから、お気軽にお問い合わせください。
この記事の執筆者
キーパーズ有限会社
1 会社情報
「遺品整理サービス」故人様の家財を片づける遺品整理サービスを全国で提供しております。遺品の整理に伴う様々な業務をワンストップでお受けする会社です。
また、施設入所のため・同居するため・家の売却等のための家財を片づけることもお手伝いさせて頂いております。
2 お客さまへのPRポイント
キーパーズは「遺品はゴミではない!」と考え、2002 年に日本初の遺品整理専門会社として設立、全国各地の約40,000 件のご遺品整理のお手伝いをさせて頂きました。
全国の直営店が遺品整理や不要品整理を責任もってお手伝いさせていただきます。
